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time
17:16

諸塚で大事に、大切にしていること

name
田邊 薫
organization
諸塚村観光協会 事務局長
諸塚で大事に、大切にしていること

自然豊かな諸塚村

高千穂の中心部から車で約1時間30分かけ諸塚村の諸塚観光協会に来ました。観光協会のすぐ隣に柳原川と言う川があり、流れも穏やかでとても透き通ったきれいな川でした。周りも木が多く山の中なのでとても空気が美味しく、心の落ち着くとてもいいところでした。今回訪れた諸塚村は世界農遺産に指定されている高千穂郷・椎葉山地域の一つであり宮崎県の北端にある町でほぼ九州の真ん中に近い村です。そんな、自然豊かな村で私たちを迎えてくださったのは諸塚村観光協会事務局長の田邉 薫さんです。

田邊さんについて

田邊さんは山形県生まれ、東京渋谷育ちの都会っ子だったそう。大学在学中に、1年間休学し緑のふるさと協力隊という制度を使い、1年間諸塚に行き地域の人たちのお手伝いをしていたそうです。そのあとは、大学を卒業し静岡の観光ガイドの仕事を一年間したのち、諸塚へ戻ってきたそうです。

諸塚村の森林


諸塚村といえばやはりしいたけですよね。そんなしいたけを育てている森林についてお話を聞きました。諸塚村は100年ほど前から林業と密接な関係のある村で、世界が認めた森林管理という称号である、FSC森林認証を獲得しているそうです。この称号を獲得するにはさまざまな審査が必要となり、例えば、働く現場の環境や、使用する機械の管理、それから先住民からの伝統の受け継ぎなどの審査基準を経て、与えられるとても価値のある称号であるそうです。このようなたくさんの手間がかかって、やっと素晴らしいしいたけが完成するのです。
また、諸塚の森林と言えばモザイク林です。スギ、ヒノキなどの針葉樹、しいたけの原材料ともなる落葉広葉樹林、また、シイ、カシなどの常緑広葉樹という3種類からなる森林です。この3種類がパッチワーク状に広がっており、遠くから山を見るとモザイクのように見えることから、この名がつけられました。
このような話をいきいきとしながら語ってくださる田邊さんの目からは、「本当にこの土地のことが好きなんだ」ということがはっきりと私たちに伝わりました。

取材の雰囲気

今回田邊さんの取材をさせていただくために、初めて諸塚村を訪れました。取材場所に案内していただき建物の中に入ると、木を基調とした内装で、諸塚ならではの暖かさや素敵な雰囲気にはやくもとりこになりました。施設のスペースには、小さな子どもたちが使うであろうスペースに諸塚のパンフレットや、諸塚歴史、有名な産物、さらに1階には観光協会運営のカフェもありました。

諸塚村ならではの観光

最後に観光協会でのお仕事についてお聞きしました。観光協会では主に、観光案内、宿泊先の手配、飲食レストラン「どんこ亭」の運営、体験交流ツアーの計画といった4つのお仕事をされているそうです。どんこ亭は観光協会に併設されており、私達も取材の際にどんこ亭さんでお昼ご飯をいただきました。しいたけの別名「どんこ」をふんだんに使用したメニューはどれも絶品です。私はどんこ入りのハンバーグをいただきましたが、ペロリと食べてしまいました。また、体験交流ツアーでは村の山仕事体験を行っているそうです。5月には茶摘み、10月にはそば打ちなど、季節に応じた複合型農業ならではの様々なワクワクを体験することが出来ます。どうでしょうか、皆さん訪れてみたくなりませんか。

お話を聞いている中で私自身とても印象に残っていることがあります。それは、
『観光客が1度に沢山来ても対応しきるのが難しい。大勢を呼ぶことよりも1度来てくださった方にこの村をどれだけ気に入っていただけるか、が大切』
と仰っていたことです。観光業界では、いかに多く集客できるか、がポイントだと思い込んでいました。しかし、田邊さんのこの言葉を聞いて、少人数でも、いや、少人数だからこそ、観光客との密な関係づくりを大切にされているのだなと思いました。また、こういう考え方もあるのだなという新たな気づきにもなりました。

まとめ

諸塚村。私は今回初めて訪れたのですが、単に「自然が豊か」「緑いっぱい」という言葉では言い表せないほど素敵な場所でした。森林FSC認証を取得したこと、その大規模な山の中で行われる複合型農業、村の良さを最大限に活用した観光業、人口が少ないからこそ村全体で協力しながら森林と共に生きる、そんな暮らしを大切にされていました。だからこそ森林と共に生きている証が村の魅力として多く残っているのだなと思います。
「かたちのない たしかなもの」
これは諸塚村のパンフレットに記載されている言葉です。初めはどういう意味なのだろうかと疑問に思っていましたが、取材を終えた今少しだけ分かった気がします。みなさんにもぜひ足を運んでいただき、その言葉の意味を感じていただきたいです。

文:高千穂高等学校 興梠あずみ 濵本菜々子 森田柊羽

取材時期:2023年10月

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