さすが最南端のスキー場がある町五ヶ瀬町

取材の当日は、2022年一番の雪が降った12月某日。私達は高千穂高校から五ヶ瀬町の那須総合林業さんに向かいました。高千穂町内はまだ雪もそこそこでしたが、五ヶ瀬町に入ったら本格的に積もっており道路も真っ白。これは「ある意味いい体験だ」と思いながらバスに揺られました。
五ヶ瀬中等教育学校で五ヶ瀬中等のメンバーの皆さんを乗せて、5分くらい車を走らせると株式会社那須総合林業が見えてきました。
出迎えて頂いたのは、代表の那須政彦さん。

「おお、事前資料で見ていたとおりシュッとされている・・・。しかし、寒そうだ・・・」
見ての通り雪景色で那須さんもとても寒そうにしており、案内されたのは休憩所のようなお部屋。こちらは、従業員の方が仕事終わりや休日などにも集まって休憩したり遊んだりできるように会社の福利厚生で整えたものだそうです。
「シュッとした上にスタッフ想い・・・産屋敷さまみたいに優しい人だ・・・」
高校時代は音楽活動にあけくれ

那須政彦さんは、お父さんの会社を継いで、ここ五ヶ瀬町で株式会社那須総合林業の代表をされています。那須総合林業はその名の通り、林業を生業にされている会社で、五ヶ瀬町を中心に西臼杵郡内の山の木の伐採や搬出、その後の植林などの業務を請け負ってされています。
ただ、那須さんは学生時代は林業を継ぐなんて思ったこともないそうで、よくよく聞いたら、音楽活動を熱心にされて音楽活動でご飯を食べていたそう。しかし、社会人になりたまたま旅行先で自分の人生を振り返るタイミングがあり、そこでご両親の恩返しや地元のことを思い、五ヶ瀬にUターンを決意。そこからお父さんがされていた那須総合林業で従事し、現在は代表として奮起されているそうです。
政彦さんのもう一つの顔
実は、政彦さんの音楽活動の顔はまだ生きていて、五ヶ瀬の仲間と集まって「back stay」というアカペラボーカルグループを結成して音楽活動をされています。昔は九州内を南に北にたくさん公演に呼ばれて林業と音楽とどっちが本業か分からないこともあったそう。元々は、自分たちのスキルで地域が盛り上がればということで初めた活動で、今でも回数は減ったものの集まって練習もされているそう。
「歌もうまいのか・・・天が二物を与えたとは正にこのこと・・・」
会社の経営と未来
話の中で、私がとても印象深く感じたのは、政彦さんがこの休憩所も含めて、会社の代表として働く従業員の皆さんをとても大事にされていることでした。「最初は全然こんな感じじゃなかったんです。」と政彦さん。先代のお父さんとぶつかりながら試行錯誤しながら、今の形をつくってきたとお話されていました。
そこまで情熱を持って取り組んだのも、地域も事業も楽しく長続きさせて行きたい思いからで給料や福利厚生などは、高い水準で維持し従業員の方を思いやり、仕事をすることで会社の業績も上向いているとのことです。
加えて地域の方への「気配り」も大変なものがありました。例えば、木材搬出のために道を作ったりする、その道は基本的には誰も通らない道だけど、その後も使えるようにきれいにして整備したり、現場に行く途中におばちゃんが「あの木がすこし邪魔なのよねぇ」と言われれば、時間を作り現場に行く前にボランティアで木を切ってあげたりと、地域と共に生きるということを体現されている方たちだなぁと思いました。
林業さんと世界農業遺産

世界農業遺産の中でも林業は、諸塚村というイメージが強かったですが、五ヶ瀬町でもたくさんの林業家の皆さんがいることを初めて知りました。ただ、人がいなくなると山の所有者の方が分からない山もあったり、林業をする上で問題になっていることも多いそう。
『最近は林業も木材の価格が上がってきて、また価値が見直される時期にある』と政彦さん。人がいないとどうなるか、目の前で起きている問題に目をそむけず、地域で笑って暮らせるように努力を怠らない政彦さん。
今日は雪で外に出ることは出来なかったですが、いつか木材の伐採の様子や搬出など現場の様子を見にいきたいと強く感じました。現場はきっと私たちのようなものが入ると危なかったりするのでしょうが、山で働いている姿をいつの日かお伝えしたいと思いました。
文:高千穂高校チーム
取材時期:2022年12月