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time
17:37

牛を育てるからには日本一に

name
津隈 雅士
organization
繁殖和牛農家
牛を育てるからには日本一に

自然に囲まれた牛舎

スッキリと晴れ渡る空ですが、指先が冷えるほどに寒い日に私達は五ヶ瀬町に取材に行ってきました。五ヶ瀬町は九州のほぼ中央に位置している自然に囲まれた町です。牛舎のある丘の上は見晴らしがよく涼しい風が私達を迎えてくれました。一緒に取材に行った先輩は、牛舎といえば大きな牛舎にたくさんの牛がいる様子をイメージしたが津隈さんの場合は小さな牛舎をいくつも構えており、その形態にまず驚いたといいます。

牛に心奪われる

今回取材させて頂いたのは五ヶ瀬町で繁殖和牛農家を営む津隈雅士さんです。津隈さんは令和5年度の宮崎県畜産共進会で優等首席を受賞されました。幼い頃は「獣医」を夢見た津隈さんですが、和牛農家を志すきっかけとなった出来事がありました。それは進学先の農業大学校で触れた牛たちです。その牛はとても良い牛で「自分もこんな牛を育ててみたい!」と思い繁殖牛経営の道を志したのだそう。

繁殖和牛農家


津隈さんの営む「繁殖和牛農家」という職業は聞き馴染みもなく、どんな職業なのか何をするのか知らない方も多いと思います。私も津隈さんに取材に行くまで聞いたことすらありませんでした。簡単に言うと繁殖和牛農家とは和牛をお肉として出荷するのではなく、母牛に子牛を産ませその子牛を8〜10ヶ月 程育てて出荷する仕事なのだそうです。津隈さんは牛に生まれてきた季節によって名前をつけ大切に育てています。飼育している牛の名前について『名前は蔑ろにしたくない』という津隈さんの愛情が垣間見えました。

和牛の繁殖は人工授精で行います。現在はIOT技術が発展していてお産センサーという物もあるそうです。牛の出産を手伝う中で、残念ながら亡くなってしまった牛もいたそうです。お産のタイミングが一番大事、母牛と子牛を大事にする津隈さんのお気持ちが伝わってきました。津隈さんのお話を聞いて子牛が生まれ、元気に育つのも奇跡だと感じました。

セリ市に出すときの気持ち


子牛を競りに出す時の気持ちを津隈さんはこう語っていました。『寂しい気持ちはあるけれど、牛との経済で生活しているから悲しいとかはない』この言葉は私にとってとても印象に残っています。子牛の頃から和牛を育てるため、どうしても情が生まれるのだろうと想像していたので割り切っているという津隈さんに驚きを隠せませんでした。また、大会の何ヶ月も前から毎日牛を洗ったり爪を磨いたりするそうです。地道な努力を積み重ねて成果を発揮する津隈さんを素晴らしいと思いました。

農業の課題

津隈さんに畜産業の課題を伺いました。津隈さんは畜産業の人手不足や後継者不足、耕作放棄地の増加などを課題として挙げていました。全国の農業で課題とされていることは同じように五ヶ瀬町の畜産業でも課題となっているそうです。五ヶ瀬町などの中山間地域では少子高齢化が進んでいることもありこれらの課題が浮き彫りになっているといいます。仕事の楽しいところを伺うと、『時間に縛られないことは農家で良かったと思う』とおっしゃっていました。津隈さんのお仕事は大変なことが多いと思いますが、取材に答える津隈さんの姿は堂々としていて繁殖和牛農家という仕事に誇りを持っているということが伝わってきました。

目標は日本一


津隈さんの仕事は決して簡単な仕事ではありませんし、命を扱う仕事なので責任も伴います。津隈さんはそんな中でも牛に対して思いやりや愛情を持っていました。心から楽しいと思える仕事を続けている津隈さんはこれからもご活躍されるだろうと思える方でした。
最後に津隈さんの今後の目標を伺いました。
牛を育てるからには日本一の牛を育てることですかね
少し考えてから津隈さんは話してくださったことは、必ず達成されるものだろうと感じた取材でした。

文:高千穂高等学校 後藤若菜

取材時期:2023年11月

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